2026.07.27
カテゴリー: TULALA TRUITE(ツララトリュテ)
【STAFF】なぜクレールス5.8Lは5.8フィートなのか by小川義行

こんにちは。TULALA北海道スタッフの小川義行です。
これまで、私がこのロッドを必要とした経緯や、4〜16gというルアーウェイトレンジの話を書いてきました。
今回は、もう一つの軸であるレングスの話です。
5.8フィートというレングスにどう辿り着いたのか、その経緯は以前に書きました。
当初の5.10フィートから、金属トリガーの採用でグリップが長くなり、バランスを取るためにグリップを詰めた結果、5.8フィートに落ち着いた。ブランクの有効レングス(曲がる部分)は5.10時代から変わっていない、という話です。
今回はその先、「ではなぜ、もっと短くしなかったのか」という話をしたいと思います。
今、ロッドは短くなっている
ここ数年、渓流ベイトの世界では、ロッドがどんどん短くなっています。5フィートを切る4フィート台、源流向けには3フィート台まで。
短いロッドにも利点はあります。木が覆いかぶさるような狭い源流で振り回せる。ピンポイントへの取り回しがいい。こうした、小さな渓流で最高でも尺クラスを狙うような釣りで、短さが効く場面があるのは確かです。
ただ、正直に言うと、3フィート台から4フィート前半のような極端な短さは、私自身は小渓流や源流でもそこまで必要ないと思っています。5フィート前後あれば、小さな川でも十分。
もちろん短いロッドが好きな人は使えばいい。短い竿を選ぶ人の多くは、釣果というより、短い竿で魚と向き合うこと自体の楽しさや、今までにない新しい感覚を求めているんだと思います。それはすごく分かるし、釣りの楽しみ方として全然アリです。ただ「短くないと釣れない」というほどのものでもない、というのが本音です。
ただ、北海道の川は違う
問題は、私が釣っているフィールドが、小さな源流ではないということです。
北海道の中流域は、川幅が広い。対岸のブッシュ際、流れの向こうのカケアガリ。そういう場所まで、ルアーを届けたい。ここは、ある程度の長さがあったほうが、自分には圧倒的に投げやすいんです。
それに、相手は、時に50cmを超えるトラウトです。掛けたあと、流れの中で主導権を取らなければいけません。ここでもレングスが効いてきます。長さがあるぶん、ロッドが魚の突っ込みを吸収してくれるし、流れに乗った魚をいなしやすい。
さらに、流れの釣りではラインメンディングが重要になります。水面に出たラインを操作して、ルアーを自然に流す。これも、ある程度の長さがあったほうが圧倒的にやりやすい。フッキングも同じで、距離が出た先で掛けるとき、長いロッドのほうがラインを素早く起こせて、決まりやすい。
こういう釣りでは、短くなるほど自分にはやりづらくなってくる。だから私は、長さが欲しいんです。
5.8フィートは「ちょうどいい長さ」
では長ければいいのかというと、そうでもありません。本流のサクラマス用ロッドは7.7〜8.6フィートが主流ですが、これだと北海道の中流で、藪を抜けたり立ち位置を変えたりするときに、取り回しで持て余す場面が出てきます。
つまり、
・短すぎると、自分の釣りでは飛距離・パワー・ラインメンディングが物足りない
・長すぎると、中流での取り回しが重くなる
この両方を天秤にかけて、北海道の中流で大型トラウトを楽しむのにちょうどいい長さが、5.8フィートでした。トレンドが短い方向に動いているなかで、あえてその流れに乗らなかったのは、流行を無視したかったからではありません。自分のフィールドが要求する長さが、たまたまトレンドとは違う方向だった、というだけです。
狭い場所は、バックハンドキャストで解決できる
「5.8フィートだと、狭い場所で振りにくいんじゃないか」。そう感じる方もいると思います。確かにフォアハンドキャストだけだと、体の幅とロッドの幅のぶん、振り抜くのにそれなりのスペースが要ります。
ただ、これはバックハンドキャストをマスターすれば、大部分が解決できます。バックハンドは、ロッドが体の横からはみ出るぶんだけのスペースで振れるので、フォアハンドよりずっと狭い場所で投げられる。極端な話、川幅が2メートルもあれば、5.8フィートでもキャストできてしまいます。
レングスによる取り回しの不利は、テクニックでかなりカバーできる。そう考えると、5.8フィートの「長さ」のデメリットは、現場ではそれほど大きくありません。
結局、ここでも基準は同じ
ルアーウェイトレンジのときと、まったく同じ話になります。
カタログのトレンドがロッドの長さを決めたのではなく、北海道の川で実際に釣ってきた経験が、長さを決めた。短ければエラい、長ければエラい、ではなく、そのフィールドで一番楽しく、一番確実に魚を獲れる長さを選んだ。それが5.8フィートです。
「北海道の川が、基準だった」。レングスについても、やっぱりこの一言に行き着きます。

次回予告
次回からは、スペックの話を離れて、北海道や本州のフィールドそのものの話を書いていこうと思います。このロッドが役立つ川が、どんな場所なのか。
引き続きお付き合いください。
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タグ: クレールス58L / トラウト / 小川義行